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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
もちろん馬鹿にしているのではない
ただ印象を述べただけだ
だからミゲルも
「そうか」
としか返さなかった
「ところでコイツだがな」
ミゲルは手にしていた手綱をクイッと引いて示す
「大方言うことは聞いてくれるが、どうもリーダー気質らしい。ラオフェンより先に行きたいとせっついてくるぞ」
「なら行かせてやれ。別に大したことではない」
あっさりと承諾したレオンをミゲルは訝しむ
ラオフェンも先に立たれるのを結構嫌がるのだ
「お前……ちゃんと付いて来いよ?」
「フン、当然だろう。一体何の心配をしているんだお前は」
リリアはレオンの腕の中で首を傾げ、ミゲルの言葉の意味を考える
そうこうするうちに
「では行くか」
とレオンが再び出発の合図を掛けた
リリアがミゲルの不安を理解するのは、それからしばらく後–––月が山の上に姿を現し始めた頃だった