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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
「私は…知らなかった……っ。自分の生まれ育った街に彼らのような人々がいること。そして、リーたちケチュア人がどんな思いで私たちに接していたのかも」
知らなかった–––知ろうともしなかった。
「でも貴方は色々なことを学べと言ったわ。貴方はアウスグライヒの人々を知って力になろうとしていた。
私も貴方みたいになりたい……」
見上げるリリアをじっと見つめ返し、
「……ハァ」
とレオンは白い息を吐いた
「お前は私のことを買い被りすぎだ……」
生来、私はもっと我儘で身勝手だ
他人のことなど気に掛けはしない
「私がアウスグライヒの街を愛したのは、兄が愛していたからだ。
身寄りのない人々を集め養い……私が同じことをするのは、単なる模倣に過ぎない」
憧れたあの人に近付く為
自分も彼になれるのだと、周りに–––母に認めてもらいたいが為
「そうしているうちにその気持ちが真実になった……と言えないわけではないがな」