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果てのない海に呑まれて
第6章 新たな道へ
陸に降り立った今、なんとなく視界が揺れている
「リリア!」
少し気持ち悪くなってしゃがみこんだリリアの背にレオンが手を添えた
「お前……船酔いはしないくせに、たった三日乗っていただけで陸酔いはするのか。
本当に可笑しなやつだな」
−−−あまり心配そうではないが。
「だが休んでいる暇はないぞ。もう日が沈む。暗くなってからこの辺りにいるのは危険だ」
ミゲルは無関心にそう言って自分が乗る馬を引いてきた
「……こいつはどうする?」
「そうだな……リリア、馬に乗ったことはあるか?」
「ないわよそんなの……」
相変わらず吐き気と戦いながらリリアは呻くように答える
「では私に同乗しろ」
「いや…待って……」
「陸酔いは下を向いていても治らんぞ」
抵抗する気力もなく手を掴まれ半ば強引に立たされる
レオンは先に馬に跨るとリリアに向かって手を伸ばした
「……」
蒼い顔を背けて拒絶の意を示すリリア
「約束を違える気か?」
「……っ」
仕方なく彼の手を取ると、ふわりと宙に浮く感覚がした
レオンが腕一本で彼女を持ち上げたわけではない
ミゲルがリリアの腰を持って押し上げたのだ