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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
貴方は違うの?とリリアは逆に質問を返した
「だからどうして私がミゲルに嫉妬する必要があるんだ」
なぁ、と同意を求めるようにレオンは振り向く
だがそこにミゲルの姿はなかった
「……どこに行ったんだ」
レオンはリリアの体を離すと、立ち上がって小屋の外に出た
「……っ」
目の前の景色にハッと息を呑む
そこはとてもこの世のものとは思えなかった
「レオン、どうした…の……」
続いて出て来たリリアも言葉を失う
「こんなことが…あるのか……」
夏に咲く薔薇は、秋には全て枯れ次の年への準備をするはず。
だがこの谷には、いまだに色とりどりの薔薇が咲き乱れていたのだ
「…いや、これは……」
「……凍っている?」
おそるおそる近づき触れてみれば、パキンと音を立てて割れる花びら。