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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
初めて訪れた時とは違う道で、レオンたちはファルツの邸へと向かっていた
「もうすっかり夜更けだな……だがもうすぐアウスグライヒの手前の町に着くはずだ。それまで我慢しろ」
「別に怖がってないわよ」
「ハッ…強がりを……」
たった二人きりの道で、リリアが震えているのがよく伝わってくる–––
「大丈夫だ。何があってもお前を守る」
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同じ頃、もう一人の男は–––
ミゲルは、馬を駆けファルツ家に帰り着いたところだった
「ミゲル!」
いち早く気付いたルチアーノが門前に走り出てくる
「お前だけか? レオン様はどうした!?」
「今ファルツの谷から此方に向かっている。リリアとともにな」
「残して……来たのか?」
「取り急ぎ報告に来ただけだ。すぐに戻る」
その言葉通り、ミゲルは馬から降りる気はないようだった