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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「こんな、時に……」
「……? どういう意味だ?」
そういえば邸の中がおかしい
妙に静かで、だが騒ついて–––
「……いや、なんでもない。とにかく俺も行こう。
ここで少し待っていろ。すぐ戻る」
「あ、ああ……」
サッと踵を返したルチアーノに、ミゲルは遅れて返事をした
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「どうした? やっぱり怖いんだろう」
「……ええ」
「もう町に入った。小さくて静かだから不安だろうが、これで獣に襲われる心配もない」
「……」
進むにつれ、明らかにリリアの口数が減っていた
レオンは彼女の恐怖を除くことが出来ないもどかしさに舌打ちした
「……」
ラオフェンの歩みが止まる
「どうしたの……?」
それを指示したレオンにリリアが不安気に尋ねた
「何か……誰か、いる」