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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々
「お帰りなさいませ、レオン様」
アウスグライヒの港からそう遠くない場所に彼らの屋敷は建っていた
いや、聳えていたといってもいい
それはリリアが貴族である自分の屋敷よりも大きく絢爛であることに目を見張るほどだった
「父上に挨拶に伺う前に体を洗いたい。用意は出来ているか?」
「はい、もちろんでございます。それで……」
部下がリリアの方に目を向ける
「そちらの方は?」
「ああ、シエラの港で拾った孤児だが、器量が良かったんで連れてきたんだ。
ここに住まわせようと思うが、妹の部屋はそのままにしてあるな?」
「えっ…ええ、いつでも使えるようにはしておりますが……あの部屋にお通しするのですか?」
部下はレオンの言うことにひどく驚いた様子だったが、レオンは平然とした顔をしていた
「とりあえず私が案内しよう。リリア」
「……」
「呼ばれたらすぐに来い」
「はい……」
むっとしながらもしぶしぶ彼の横に並ぶ
「他の者はもう下がっていい。父上にすぐ行くと伝えておいてくれ」
「は」
レオンの命令に出迎えの者たちは一礼してそれぞれの持ち場へと戻っていった