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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々



三人は長い廊下を無言で進んでゆく

いや、三人だけではない

どうやらレオンを追って他にも数人の部下が身を潜めているようだった



"常に護衛をつけてるなんて……こんなところまで貴族と一緒なのね"



相変わらず不機嫌な顔をしたリリアだったが、内心は驚きでいっぱいだった



広い屋敷は場所によって違う様々な装飾が施され飽きることがない

部下や使用人の数や様子も大貴族と遜色なかった

が、やはりそれが海賊行為によって成り立っているのだと思うと素直に楽しむことは出来ない



リリアは豪華な内装を見回してはレオンを睨み付けていた



「なんだ、何か言いたいことがあるのか?」



視線に気づいたレオンがリリアを見る



「別に」



リリアは顔を逸らしてつんとそっぽを向いた

その時急にレオンの足が止まった



「何……」



また何かされるのかとレオンの方へ目線を戻すリリアだったが、彼が見ていたのは別のものだった



「おや、玄関までお出迎えに行こうと思ったのですが、こちらでしたか」



前方から笑みを浮かべた男性が歩いて来る

レオンとは対照的な明るい金の髪を持ったその男の笑顔は、近付けば近付くほどあまり好意的でないことを相手に感じさせるようなものだった



「今回もご無事でなによりです、兄上」

「ああ」


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