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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
ルチアーノが戻ってくるのを待つ間、レオンはリリアの用意した椅子に座ったまま動かなかった
ただ時々、ミゲルが苦しげに息を詰まらせる度に組み合わせた手に力が籠る
このままもし–––もしもミゲルが死んでしまったら、彼も生きてはいないのではないか
そう思うほど、彼はミゲルと同じだった
「……」
「…っ……」
「ミゲル…お願い、生きて……」
そう呟きながら、リリアはルチアーノに言われた通り瀉血を繰り返した
腕に針を立て、引き抜く
流れ出る血液
それを壺に溜めると、独特だったあの甘い香りは徐々に薄れていった
毒が出ていっている証拠だ
「……ハァッ」
何度目かの瀉血を終え、リリアが大きく息を吐く
血を見るだけで卒倒しそうなほど恐ろしいのに、彼女はそれを耐えていた
震える手も、汗ばんだ額も今のレオンの目には入らない