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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る



「……」



レオンはミゲルを振り返った



「選んでいる暇はなさそうだな」



心を通じ合わせ、ミゲルの言葉にレオンも頷く



「……申し訳ないが、足止めを頼めるか」

「足止め、ですか……」



あからさまに目を逸らされ、二人とも怪訝な顔をする



「つまらない説教を聞かせるくらいは出来ますが、それでは逆に怪しまれるのでは?」

「別の方向に行ったとでも言えばいい。それだけで十分だ」



だが相手は静かに頭を振るだけだった



「私たちは嘘はつきません」



その問答の間に、ハッと嘲笑う声が聞こえた



「嘘をつかない? そう神に誓ったからか?」



ミゲルが今までにないほど冷やかな目を向けている



「下らん偽善だ……どうせファルツに媚を売った方が得だからそう言っているだけだろう」

「……」



これにはリリアも思わず顔を顰めた

教会の人間に、その態度はあまりにも酷いと。


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