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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「……哀れなケチュア人よ」
だがミゲルに向けられたのは、怒りでも侮蔑でもなかった
「何が貴方の信じる心を奪ったのか……しかし一度は喪ったその心を、取り戻してくれた者たちがいるでしょう」
「……っ」
「彼らの為に疑ってきたように……彼らの為に信じることを覚えなさい」
無意識に、ミゲルの目がレオンとリリアの間を行く
「……」
改心の言葉こそないが、彼はそれ以上何も言わなかった
「……お前たちが、お前たちが信じるものに忠義を尽くすことはよく分かった。
世話になったな」
そう言ってレオンが立ち上がり、ミゲルもルチアーノもそれに続いた