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果てのない海に呑まれて
第47章 思い知れこの愛を
「怖かっただろう」
「……」
別に。
意地を張ってそう答えそうなところを、リリアは
「ええ」
と肯定した
「……っ」
レオンはそこに翻弄され、思わず彼女を抱き締めた
「リリア、お前は……」
「お取り込み中悪いが、感動の再会に浸っている暇はないぞ」
空気を読まないミゲルにレオンは言い返そうとするが、
「その通りね」
リリアはその通りだとすぐに離れてしまった
「……」
不満げな顔のレオンに背を向けながら、リリアは小さく笑う
ああ、元通りだ–––
「レオン、私たちを追ってきた人たちだけど……ファルツ家じゃないかもしれない」
「何?」
やはりいつまでも浸っているわけにはいかず、リリアは真剣な表情で振り向いた
その眉は不安げに寄せられている
「何故そう思う?」
「私のことを見ても全く不審がらなかった。それに、何となく……シエラの訛りがあったわ」
故郷の、懐かしい筈の言葉。
「そう、か……また馬を飛ばすぞ」
もう逃げるしか道はないのだから。
「今度は何処に向かうの?」
リリアを膝に乗せながら、レオンは答えた