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果てのない海に呑まれて
第47章 思い知れこの愛を
この作戦により、うまく敵を遠ざけることが出来た
あとは彼が戻ってくるのを待つだけ–––
「……ハァ」
少年の姿をしたリリアは冬の寒さに身を縮め、白い掌に息を吐いた
「……」
その呼吸が、一瞬止まる
今彼女の耳に微かに馬の蹄の音が聞こえた
「……っ」
耐え切れなくなって振り向けば、黒い馬が二頭、此方に向かって走ってくる
まだ顔は見えない
けれど、あれは確かに–––
「リリア!」
「レオ……」
大きく名前を呼び返そうとしたその時、後ろの人物が厳しい目付きで唇に指を当てた
「…っ……」
ミゲルに止められて慌てて口を押さえる
そうだ、こんなところで名前を叫ぶわけにはいかない
リリアは溢れ出す気持ちを堪え、光に輝く彼の横顔を見つめていた
「……待たせたな」
「本当よ」
素直に喜べば良いものを、ツンと顔を背けたりするから可愛い