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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々



リリアのその言葉に使用人二人はクスクス笑う

一頻り笑ってから、慌てて人差し指を唇に当てた



「この屋敷ではあんまり大きな声でそういうこと言わない方が良いわ。どこで誰が聞いてるか分からないから」



どきっとしてリリアは体を小さくし思わず辺りを窺う



「でも、あなたとは気が合いそうね」



気さくに笑いかけられて、リリアはここに来て初めて温かい気持ちになれた

そのままスープを飲む間もいてくれるよう頼み、彼女たちの普段の生活などについて話を聞く



ひょんな流れから、リリアは少し気になったことを口にした



「ねぇ、貴方たちもあの人に何かされたの?」

「あの人って? レオン様のこと?」

「ええ」

「何かって…仕事を貰う以外には何もして頂いてないけど……」

「いえ、してもらうとかじゃなくて……」



リリアは首を振って説明しかけたが、二人のきょとんとした様子に口をつぐむ



「でもあなたは使用人ではなく客人として迎えられているから、私たちとは違うのかもね」

「レオン様に気に入られたんじゃないかしら」

「そう……」



やはり男女としての関係を持ったのは自分だけのようだ


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