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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々
そして優しくそっと彼女の肩に触れる
「貴方、シエラの孤児なんですって?」
「……?
ええ、まぁ……」
とりあえず話が拗れないようにレオンに合わせておく
「私たちも孤児だったのよ」
「え!?」
「私たちだけじゃない、今レオン様に仕えている者はほとんど何かしらの事情を抱えているわ。孤児だったり宗教的に異端だったり、色々だけど」
目の前で優しく微笑んでいる、この女性が孤児だったとは全く想像がつかない
それだけこの大商家の屋敷に馴染んでいた
「今は辛いでしょうけど、あなたもきっとこのファルツ家が好きになると思うわ」
今のリリアには到底考えられないことを女性は自信満々に言ってのけた
後ろの女性もそれに大きく頷いている
「あ、でも」
女性は急に眉をひそめリリアに顔を近付けた
周りに誰もいないか警戒するような素振りをしながら声を低くする
「ジェーニオ様には気をつけて。あの方は少し違うから」
"……?"
「そうね、あんまり良い印象は持てなかったわ」
リリアは不思議そうに首を傾げながらも先ほどの彼の様子を思い出してそう言った