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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
「リリアを助ける時は必ず濡れ鼠になる運命らしいな」
冗談めかしながら差し出された布を受け取る
冷えた身体を労わるように、リリアはまだレオンにくっついたままだ
「もしもうこれ以上何もなければ、船を出すぞ」
「……ああ。世話を掛けたな」
クリストフは立ち上がり、船員たちに大声で叫んだ
「錨を上げろ!
ラ・マリガランテ号、出航だ!!」
船はゆっくりと動き出す
その背に日の出の光を受けて、大海へ–––
「……ミゲル」
「なんだ」
少し離れた場所からレオンたちの様子を見つめるミゲルに、クリストフが話し掛ける
「悪かったな、お前ばかりに重荷を……」
「謝るな」
その言葉を遮り、面倒そうに顔を見る
「気色が悪い」
「……なっ」
相手が言葉に詰まると、ミゲルはさっさと自分の仕事を探しに他の船員たちの元へ向かおうとした