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果てのない海に呑まれて
第8章 還らない者
「リリア、もう寝ているか?」
レオンがそっとベッドの端に腰掛けた
彼に背を向けたまま、寝たふりをするリリア
「……起きてるな」
残念ながらそんなものは彼には通用しない
レオンはリリアの肩を掴むとぐいと自分の方に向きを変えさせた
「……出てって」
リリアはレオンと目を合わせないようにしながらぼそりと言った
が、レオンは全く聞いていない
「ちょっと! 何してるのよ!」
ごそごそと布団を探り、ベッドの中に潜り込んできた
「私が何をしようが、お前に拒否権はない。今日はここで寝たい気分なんだ」
「じゃあ私は別の部屋に行くわ」
つれない様子でベッドから出ようとするリリアをレオンは腕を掴んで引き戻す
「分からない奴だな。ここというのはお前の傍という意味だ」
「そう。でも私は貴方の傍にいたくないし、この部屋も嫌」
「リリア」
レオンの声の調子が少しだけ変わる
「……分かったわよ」
彼の腕に力が籠もったのを感じてリリアは観念したように布団に入った
ただしレオンに背を向けた状態で。