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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
机の上に積まれた書物を見上げリリアはずっと困った顔をしていた
「あの人はなんで私にこんなことさせるの? 自分の目的の為に必要とか?」
「いや、あいつはそんなまどろっこしい真似はしない。ただ純粋に、新しいことを学ぶのが好きなんだ。だからそれを求めて航海するんだろう。
しかもその喜びを他人にも教えようとする。妹のフローラ様にも常に学ぶよう言っていたし、果ては使用人にまで学問をさせようとした」
「……」
随分と有り難迷惑な話だ
「別に他にやることもないから良いけど……」
「お前、テナイ語は読めるのか?」
「一通りの文法と簡単な単語くらいなら……」
「ここにある書物はだいたいがテナイ語で書かれている。まずはそれを完璧に習得するところからだな」
ミゲルはそう言って紙に何かを書き始めた
「まずはこの一文の書き取り百回からだ」
ミゲルはスパルタだった
だがレオンの言うとおり教え方は上手い
わずか三日でリリアに古語を叩きこんでしまった