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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
リリアを上から下までざっと見て鼻で笑う
「私は誰だろうが学問に触れる機会が必要だと思う。何かの為ではない。純粋に楽しめるからだ。そこに男も女も、貴賤も関係ない。
事実、私はただの船乗り商人だが色々と学んだしな。使ったことはないが」
リリアはだからなんだと言いたげな表情をしている
一方でミゲルは何かを察したのか、そそくさとその場を後にしようとした
「待てミゲル。逃げるな」
しかし肩に置かれたままのレオンの手がそれをさせない
「コイツは実は大学に行っていたことがあってな。まぁ卒業はしなかったんだが、意外と教えるのも上手い。屋敷の書庫で色々教わると良い」
「ハァ…」
ミゲルは観念したようにため息をついた
もうレオンの強引さには慣れっこなのだろう
昔から、一度言い出したら絶対に周りの言うことなど聞かない男だ
「来い、リリア」
いまだわけの分からない状態のリリアを呼び寄せると、ミゲルは主人の言う通りにすべく書庫へと向かった
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