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サイドストーリー6
第20章 悠久の恋の果てに
華族の成人男子となり
爵位後継者としての色々な集まりにも顔を出すことが増えた。
めんどくさい。
しかしこれは義務であり、僕にはどうする事も出来ない。
鹿鳴館がなくなったとはいえ
華族の社交場は名を変え、庶民には分からないような形で続いていた。
それは贅を尽くし、競い合い、華やかな見かけとは裏腹な
ドロドロとした社交場だ。
「まるで泥沼だな」
ある華族のダンスパーティーに渋々出かけ
ダンスに興じる華族たちを見て苦笑いをする。
先代の天皇陛下が法令で定められた洋装は
僕たちの世代になり、だいぶ着なれてきた。
ご婦人たちは上手にローブ・デコルテを着こなしているが
僕にはまたそれが滑稽に見える。
まぁ、そんな事はご婦人たちに口が裂けても言えないけれど。