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横浜発 7:54
第3章 根
翌朝、横浜駅で待ち合わせて
二人で電車に乗って試合が行われるグラウンドに向かう。
「車で迎えに行きたかったけど、帰りは打ち上げで飲むから」
「そうなんですか」
「長谷川さん、行けるよね?」
高い身長を折り曲げて私の顔を覗き込む。
「私が行ってもいいんですか?」
「もちろん」
「じゃぁ、行こう・・・かな」
「うん」
矢野さんはあからさまに嬉しそうに笑った。
「ねぇ。長谷川さん下の名前教えてよ」
「え?」
「ダメ?」
まっすぐと前を向き、こちらをちらっとも見ない。
「さくら、です」
「うん。ぴったりだ」
うんとうなづいた後に、私の目の前に手を広げて
「はい」という。
その手をじっと見つめると、もう一度
「はい。さくらちゃんの、手」
と手を軽く動かした。
そっと、その上に私の手を重ねる。
ぎゅっと握られた二人の手は、ゆっくりと下に降りて歩くたびに軽く揺れる。
まるで高校生のようなその雰囲気に
オトコと手をつなぐことなんて、初めてでもないくせに。
ドキドキした自分にびっくりする。
「今日1日・・・
休日の俺を見て、飲み会の俺を見てほしい」
「え・・・」
二人で電車に乗って試合が行われるグラウンドに向かう。
「車で迎えに行きたかったけど、帰りは打ち上げで飲むから」
「そうなんですか」
「長谷川さん、行けるよね?」
高い身長を折り曲げて私の顔を覗き込む。
「私が行ってもいいんですか?」
「もちろん」
「じゃぁ、行こう・・・かな」
「うん」
矢野さんはあからさまに嬉しそうに笑った。
「ねぇ。長谷川さん下の名前教えてよ」
「え?」
「ダメ?」
まっすぐと前を向き、こちらをちらっとも見ない。
「さくら、です」
「うん。ぴったりだ」
うんとうなづいた後に、私の目の前に手を広げて
「はい」という。
その手をじっと見つめると、もう一度
「はい。さくらちゃんの、手」
と手を軽く動かした。
そっと、その上に私の手を重ねる。
ぎゅっと握られた二人の手は、ゆっくりと下に降りて歩くたびに軽く揺れる。
まるで高校生のようなその雰囲気に
オトコと手をつなぐことなんて、初めてでもないくせに。
ドキドキした自分にびっくりする。
「今日1日・・・
休日の俺を見て、飲み会の俺を見てほしい」
「え・・・」