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横浜発 7:54
第3章 根
「さくらちゃんの事はずっと電車の中で気になってたんだ」
「・・・」
「だから、あの日。お疲れさまと声を掛けられて
一瞬びっくりしたけど、すぐにさくらちゃんが『誰だか』分かった」
「もし、今日1日一緒にいてこれからも会っていいと思ったら
俺と付き合ってほしい」
「・・・・」
「もし、ダメだったら俺が電車を変えるし二度と会わないよ」
「・・・・」
「だから今日1日、最後までチャンスを頂戴」
矢野さんはあのさわやかな顔で、笑うこともなく
茶化すことなく、
きれいな顔で、多少のテレを隠すかのように視線を合わせずに
前だけを向いて一気に言った。
「はい」
そんな矢野さんに可笑しくなる。
お姉ちゃんの話だと、会社ではかなりやり手で
広報のやり方は、正攻法というよりは、相手の裏をかくという感じらしい。
会社の女の子がいくら誘っても
冷たく相手にしないらしく
カッコいいけど憎らしい。そんな形容詞が合うオトコ。
あんた気をつけなさいよ―――
お姉ちゃんは笑いながらそう言った。
社会人ひよこ組のさくらなんか、簡単に騙されちゃうわよ。
ふふん。と笑って今日のデートを見送ってくれた。
なのに。
そんな会社の顔を知らなければ
この人は純情なんじゃないかと見間違うほどの態度で
今日の俺を見てくれという。
そんな可愛さに惚れそうになる。
「・・・」
「だから、あの日。お疲れさまと声を掛けられて
一瞬びっくりしたけど、すぐにさくらちゃんが『誰だか』分かった」
「もし、今日1日一緒にいてこれからも会っていいと思ったら
俺と付き合ってほしい」
「・・・・」
「もし、ダメだったら俺が電車を変えるし二度と会わないよ」
「・・・・」
「だから今日1日、最後までチャンスを頂戴」
矢野さんはあのさわやかな顔で、笑うこともなく
茶化すことなく、
きれいな顔で、多少のテレを隠すかのように視線を合わせずに
前だけを向いて一気に言った。
「はい」
そんな矢野さんに可笑しくなる。
お姉ちゃんの話だと、会社ではかなりやり手で
広報のやり方は、正攻法というよりは、相手の裏をかくという感じらしい。
会社の女の子がいくら誘っても
冷たく相手にしないらしく
カッコいいけど憎らしい。そんな形容詞が合うオトコ。
あんた気をつけなさいよ―――
お姉ちゃんは笑いながらそう言った。
社会人ひよこ組のさくらなんか、簡単に騙されちゃうわよ。
ふふん。と笑って今日のデートを見送ってくれた。
なのに。
そんな会社の顔を知らなければ
この人は純情なんじゃないかと見間違うほどの態度で
今日の俺を見てくれという。
そんな可愛さに惚れそうになる。