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横浜発 7:54
第3章 根
そんな会話を、少し離れた女の子たちが睨んで。
うん。しっかり睨まれてる。

お構いなしに私に世話を焼く矢野さんに
私とメンバーの人たちは苦笑いした。

1時間も過ぎたころ
「さくらちゃん、ちゃんと食べた?」
と聞かれて
「そろそろ出るけど、良い?」
なんて耳元でそっと呟く。

「はい」
私がそう答えると矢野さんは私の手を持って立ちあがった。
「俺たち帰るから。お先に」
そう言って大きなスポーツバッグを持ち上げると
「あれ?矢野帰るの?」
と、方々から声が飛んできた。

「ああ。帰る。シャワーも浴びたいし」
そう答えると
「お前あからさまな奴だな!」
と、軽く酔った人が私たちが手をつないでいるのとシャワー発言を茶化した。

「あ?違うって純粋に汗が気持ち悪いだけ。
さくらちゃん送っていきたいし、マジで帰る」
矢野さんは靴ひもを締めた。
「お前今日、動いたもんなぁ~」

女の子たちが
「今日、矢野クンとしゃべってな~い」
と言ったけど、それは私へのけん制でしょうか?

そんな声に苦笑いをして
「今日はお邪魔しました」
と、挨拶をして、二人でお店の外に出た。

手をつないだまま、駅の改札の手前でふと立ち止まる。
「今日1日、ちゃんと俺の事見てくれた?」
そう聞く矢野さんは心なしか自信がない様で

ぎゅっと私の手を握る。



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