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潮騒
第12章 時代のうねりー津波ー
田舎であることもあり、菊乃の周りは女の子に学は要らぬと、尋常小学校のみで教育を終わるのが殆どだった。

が、父が変わり者だった為、菊乃は男の子に混じって高等小学校まで進んだ。
進学に関して、母は反対するかと思いきや、学べる機会を棒に振ってはいけない、と進学に賛成した。

『持っている知識を使わずにいることはできるが、持たないものは使いたくとも使えない。』

というのが母の持論でもあった。幼い頃に両親を亡くし、学校に行きたくとも行けなかった母は、下働きをして家族の生計を支えながら、見様見真似の独学で文字を学び、お寺の住職のありがたい話やら、野菜を効率よく育てる術やら珍しい野菜の育て方など、生活に役立ちそうなことはすべて書き残して、何度も読んでいた。
そんな母だったから、学ぶ機会の有り難さをよく知っており、女の子だから、男の子だからと言わず、可能な限り教育は受けさせた。
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