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潮騒
第17章 終章 ー凪ー
意外だったのは、気難しい正一郎が、皐月にだけは甘く、魚の骨まで取って食べさせてやるほどの可愛がりようだった。
これには流石の菊乃も閉口した。
郁男と啓三には、
「男は丸刈りでええんじゃ」
と、バリカンで刈り込むだけなのに、皐月の髪は少し不揃いに伸びただけでも商売道具の鋏を取り出し、丁寧に揃えてやる。
おかげで皐月の髪はいつもきっちりと揃ったおかっぱ頭だった。
寝るときも、郁男も啓三も一階の寝間でヨシと共に寝ていたが、皐月だけは二階の寝間に連れて上がり、菊乃との間に挟んで川の字で寝る。
布団の中で皐月を抱き締めながら、
「お前はずぅっと父ちゃんと母ちゃんと離れとったんやからな、親らしいことされてくれ」
と髪を撫でる。
これには流石の菊乃も閉口した。
郁男と啓三には、
「男は丸刈りでええんじゃ」
と、バリカンで刈り込むだけなのに、皐月の髪は少し不揃いに伸びただけでも商売道具の鋏を取り出し、丁寧に揃えてやる。
おかげで皐月の髪はいつもきっちりと揃ったおかっぱ頭だった。
寝るときも、郁男も啓三も一階の寝間でヨシと共に寝ていたが、皐月だけは二階の寝間に連れて上がり、菊乃との間に挟んで川の字で寝る。
布団の中で皐月を抱き締めながら、
「お前はずぅっと父ちゃんと母ちゃんと離れとったんやからな、親らしいことされてくれ」
と髪を撫でる。