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潮騒
第17章 終章 ー凪ー
正一郎の死後、郁男の建てた家が完成し、それを機に郁男夫婦との同居が始まる。
嫁が専業主婦だったため、家事は嫁に任せ、菊乃は数十年振りに自由を得る。
「私は、もう家の事はしません。その代わり、一切口も出しません。貴女の好きなようにしてくれていいから、自由を頂戴。」
同居する時、そう嫁に言った。まだまだ元気なのにはっきりと隠居宣言をした菊乃に、嫁は驚いたようだったが、婚家との関係で苦労してきた事は何となく聞いたようで、また彼女自身も細かい事は気にしないタチだったようで、承諾してくれた。
園芸、ゲートボール、俳句、洋裁…
有り余る時間を趣味だけに費やす日々。
晩年、嫁と二人で話した時、嫁は感慨深げに
「おばあちゃん、私、実の母とより、もうおばあちゃんとの方が長く一緒に住んでんのよ? 改めて考えると凄いことよねぇ…」
と言い、菊乃も、そう言われればそうだ、でも自分も実家に居たのは十七まで、姑との方が長い…と思い。まぁ、昔と今では時代が違うのだろう、昔当然だったことが、今も不変ということはないのだな、と納得した。
嫁が専業主婦だったため、家事は嫁に任せ、菊乃は数十年振りに自由を得る。
「私は、もう家の事はしません。その代わり、一切口も出しません。貴女の好きなようにしてくれていいから、自由を頂戴。」
同居する時、そう嫁に言った。まだまだ元気なのにはっきりと隠居宣言をした菊乃に、嫁は驚いたようだったが、婚家との関係で苦労してきた事は何となく聞いたようで、また彼女自身も細かい事は気にしないタチだったようで、承諾してくれた。
園芸、ゲートボール、俳句、洋裁…
有り余る時間を趣味だけに費やす日々。
晩年、嫁と二人で話した時、嫁は感慨深げに
「おばあちゃん、私、実の母とより、もうおばあちゃんとの方が長く一緒に住んでんのよ? 改めて考えると凄いことよねぇ…」
と言い、菊乃も、そう言われればそうだ、でも自分も実家に居たのは十七まで、姑との方が長い…と思い。まぁ、昔と今では時代が違うのだろう、昔当然だったことが、今も不変ということはないのだな、と納得した。