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潮騒
第3章 婚家の実情 ー磯波ー
正一郎の家族は、父親の耕太郎、母のヨシ、姉チヨと、正一郎の弟が二人。
すぐ下の弟、浩二郎は向かいの棟に嫁と共に住んでおり、末の弟 良太郎は母屋で両親と寝起きする。
他にも兄弟はいるという話だったが既に独り立ちしており、実際同居しているのはこの六人。
それに正一郎と菊乃を加えての八人家族、というところだった。
驚いたのは末の弟だという良太郎はなんとまだ六歳。
舅の耕太郎は、優しそうな顔をした、齢七十を迎える、まさに好々爺という表現がぴたりと当てはまる人物だったが、それが六年前に末の子を授かるとは。
姑のヨシは夫より十幾つ若く、六十前ということだったが、幾らなんでももう産めないだろう、となれば、どこの誰に産ませたのやら、まぁ旺盛な事、と呆れるばかりだった。だが不思議なことに、ヨシも大層良太郎を可愛がっており、もしや最後の子なのかしら、とも思いながら、嫁してすぐに踏み込める話題でもなかった。
すぐ下の弟、浩二郎は向かいの棟に嫁と共に住んでおり、末の弟 良太郎は母屋で両親と寝起きする。
他にも兄弟はいるという話だったが既に独り立ちしており、実際同居しているのはこの六人。
それに正一郎と菊乃を加えての八人家族、というところだった。
驚いたのは末の弟だという良太郎はなんとまだ六歳。
舅の耕太郎は、優しそうな顔をした、齢七十を迎える、まさに好々爺という表現がぴたりと当てはまる人物だったが、それが六年前に末の子を授かるとは。
姑のヨシは夫より十幾つ若く、六十前ということだったが、幾らなんでももう産めないだろう、となれば、どこの誰に産ませたのやら、まぁ旺盛な事、と呆れるばかりだった。だが不思議なことに、ヨシも大層良太郎を可愛がっており、もしや最後の子なのかしら、とも思いながら、嫁してすぐに踏み込める話題でもなかった。