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潮騒
第3章 婚家の実情 ー磯波ー
耕太郎は既に隠居した身だが、稼ぎ手が二人いればそれなりに余裕はあるだろう。
しかしこれから嫁として、一体何人分の炊事と洗濯をせねばならぬのか…考えただけで気が重い。
両親と幼い弟の面倒を見るのは仕方ないにしても、家内の仕事をせぬ大人の女が二人もいるのが解せない。
浩二郎に非はないがさっさと独り立ちしてタエと二人で別に居を構えて欲しいと思うし、姉のチヨもどこぞに嫁に行ってほしい。
だいたい正一郎より三つ上なんてもう三十近い。立派な行かず後家やないか…と思いながら、それも嫁の立場で言えることではなかった。
こんなん、嫁やのうて下働きの小間使いやないか…
そう思ったが、祝言まで済ませた手前、逃げ帰る訳にはいかなかった。
しかしこれから嫁として、一体何人分の炊事と洗濯をせねばならぬのか…考えただけで気が重い。
両親と幼い弟の面倒を見るのは仕方ないにしても、家内の仕事をせぬ大人の女が二人もいるのが解せない。
浩二郎に非はないがさっさと独り立ちしてタエと二人で別に居を構えて欲しいと思うし、姉のチヨもどこぞに嫁に行ってほしい。
だいたい正一郎より三つ上なんてもう三十近い。立派な行かず後家やないか…と思いながら、それも嫁の立場で言えることではなかった。
こんなん、嫁やのうて下働きの小間使いやないか…
そう思ったが、祝言まで済ませた手前、逃げ帰る訳にはいかなかった。