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潮騒
第4章 嫁 ー細波ー
「何を言うてんの。嫁した人間は、二度と実家の門を跨ぐことは許されん。もう、あんたの家はげんじろうや。ここはあんたの家と違う。もう夕餉の支度せなあかん時間やろ。こんなとこで油売ってんと、さっさと帰り!」
ピシャン!と音を立てて門扉が閉まる。
直ぐにカタン!と音がして、つっかい棒が咬まされたのが判った。
門扉が閉まる直前、母の後ろで申し訳なさそうに手を合わせる父の姿がチラッと見えた。
バンバンと門扉を叩いても、扉が開く事はなく。
隙間に指を差し入れて無理矢理開けようにもつっかい棒のせいで爪の先くらいしか入らない。
騙された、と気付いた時には門扉の向こうの人の気配も既にない。
フツフツとこみ上げる怒りで、涙すら出なかった。
地団駄を踏み、菊乃は叫んだ。
「…おのれクソ親父…騙しよったなぁ!親の癖に娘を騙すってどういうことやぁ⁉︎」
叫びも虚しく、家からは何の返事も聞こえなかった…
ピシャン!と音を立てて門扉が閉まる。
直ぐにカタン!と音がして、つっかい棒が咬まされたのが判った。
門扉が閉まる直前、母の後ろで申し訳なさそうに手を合わせる父の姿がチラッと見えた。
バンバンと門扉を叩いても、扉が開く事はなく。
隙間に指を差し入れて無理矢理開けようにもつっかい棒のせいで爪の先くらいしか入らない。
騙された、と気付いた時には門扉の向こうの人の気配も既にない。
フツフツとこみ上げる怒りで、涙すら出なかった。
地団駄を踏み、菊乃は叫んだ。
「…おのれクソ親父…騙しよったなぁ!親の癖に娘を騙すってどういうことやぁ⁉︎」
叫びも虚しく、家からは何の返事も聞こえなかった…