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潮騒
第6章 日常 ー寄せ波ー
家は二階建てで、更に庭を挟んで向かいにも棟があり、母屋の二階は正一郎と菊乃の居住空間としてあてがわれていた。
一階に舅、姑とチヨと良太郎。
向かいの棟は一階が土間の物置で、農機具や漁の道具などが雑多に仕舞われている。
風呂と厠もそこにある。
そしてその上が浩二郎とタエの部屋だ。
元は客間だったらしい。
子が生まれるまでは、夜も二人で過ごせるとわかり、菊乃は安堵した。
誰に見られるかしれない外であんなはしたないことは出来ない。
喘ぎ声を家族に聞かれているかも知れぬと思うと、気恥ずかしいものがあり、朝起きて家族と顔を合わせると声を抑えねば、と思うのに、実際声を抑えると正一郎が機嫌を損ねるし、最中にはすっかり頭から抜けている。
その繰り返しだった。
一階に舅、姑とチヨと良太郎。
向かいの棟は一階が土間の物置で、農機具や漁の道具などが雑多に仕舞われている。
風呂と厠もそこにある。
そしてその上が浩二郎とタエの部屋だ。
元は客間だったらしい。
子が生まれるまでは、夜も二人で過ごせるとわかり、菊乃は安堵した。
誰に見られるかしれない外であんなはしたないことは出来ない。
喘ぎ声を家族に聞かれているかも知れぬと思うと、気恥ずかしいものがあり、朝起きて家族と顔を合わせると声を抑えねば、と思うのに、実際声を抑えると正一郎が機嫌を損ねるし、最中にはすっかり頭から抜けている。
その繰り返しだった。