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潮騒
第8章 正一郎の過去 ー引潮ー
正一郎の指と舌が、菊乃の身体を攻める。
…弱いところだけ的確に。
ほどなくして潤いを帯びたそこに、封印を解き放った正一郎が照準を合わせる。

最初は先端だけ。
ゆっくりと出し入れし、自身の敏感な部分で遊ぶように楽しみ、不意にぐっと奥深いところまで差し込む。

「んッ…あぅッ…」

漏れる喘ぎ声に慌てて唇を噛み、声を抑える菊乃。

「抑えるな…もっと…その声が聞きたい…」

「嫌…トキエさんに似た声なんか、聞かせたらへんの…」

声を出すまいと、唇をつぐみ、歯をくいしばると、行き場を失った声が、随喜の涙となり、眦を伝う。
その涙をペロリと舐め取り、

「忘れるていうたやろ…お前の声がええんや…」

「階下に聞こえるて言うたの、あんたやないか…」

「それとこれは別や…まぁええわ。じきに我慢なんか出来んようにさせたる」

ニヤ、と不敵に口角を吊り上げた正一郎。
腰をぐっと押し付け、奥深い一点に擦り付けるように腰を回す。

「んァッ!」

菊乃が仰け反り、喉と顎の先が一直線を描く。


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