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潮騒
第9章 正一郎 不在の夏 ー大時化ー
「菊乃‼︎ あたしが行く!」
「おぉ、ほなら俺も行くわ」
「俺も行こか」
丁度その場に居合わせた幼馴染みのタツノ、タツノの兄の小吉と従兄弟の勝二が名乗り出てくれた。タツノが先導して先を急ぎ、その後を二人の肩を借りてゆっくりと歩いて行った。
楽に歩ける時と、刺し込みが来て途中で立ち止まり、二人の肩にぶさらがるようになったり、それもできずにしゃがみ込んだりしながら、なんとか歩く。
だが、菊乃は温かい液体が内腿をゆるゆると伝うのを感じていた。
破水しているらしい。
一気にでなく、少しずつ漏れている、という感じだった。
身体が濡れているし、少しずつだから最初は一緒に歩いてくれる者たちも気づいてなかったが、流石に家の方まで来ると身体から水が滴ることもない。
その中で、ポタポタと水が落ちるのを認めた小吉が。
「なんやお前、漏らしよんか?」
その声に前を歩いていたタツノが振り返る。
「あんた、それ破水やないん?」
流石に女は鋭く、タツノには一発で見抜かれた。
「…さっきから…ちょっとずつやから、まだ、大丈夫やと思う…」
はぁはぁと、苦しい息の中、気丈に笑ってみせる菊乃に、二人が哀れんだ目を向ける。
「もうすぐや、気張れよ!」
「おぉ、ほなら俺も行くわ」
「俺も行こか」
丁度その場に居合わせた幼馴染みのタツノ、タツノの兄の小吉と従兄弟の勝二が名乗り出てくれた。タツノが先導して先を急ぎ、その後を二人の肩を借りてゆっくりと歩いて行った。
楽に歩ける時と、刺し込みが来て途中で立ち止まり、二人の肩にぶさらがるようになったり、それもできずにしゃがみ込んだりしながら、なんとか歩く。
だが、菊乃は温かい液体が内腿をゆるゆると伝うのを感じていた。
破水しているらしい。
一気にでなく、少しずつ漏れている、という感じだった。
身体が濡れているし、少しずつだから最初は一緒に歩いてくれる者たちも気づいてなかったが、流石に家の方まで来ると身体から水が滴ることもない。
その中で、ポタポタと水が落ちるのを認めた小吉が。
「なんやお前、漏らしよんか?」
その声に前を歩いていたタツノが振り返る。
「あんた、それ破水やないん?」
流石に女は鋭く、タツノには一発で見抜かれた。
「…さっきから…ちょっとずつやから、まだ、大丈夫やと思う…」
はぁはぁと、苦しい息の中、気丈に笑ってみせる菊乃に、二人が哀れんだ目を向ける。
「もうすぐや、気張れよ!」