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いとかなし
第10章 いろみえで うつろうものは よのなかの
ざわざわと内襞が騒めき、絶頂が近いことを啓司に伝える。

「糸、一緒にイこうな」

「んっ、ぅんっ、はあっ、ああっ」

ガツガツと烈しい抽送に、糸の身体は上下に揺さぶられる。

「やっ、ああっあっ、も、ぅっ」

「イく?」

「んっ、ンンッ、イくっ、ぃ、くぅっ」

「お、れも、っ––…」

ぎゅうっと締め付けられて、啓司は薄いゴム越しに白濁液を吐き出した。

糸は身体を痙攣させ背中を仰け反らして、脱力する。

「っと」

崩れ落ちていく糸を抱きとめて、蕩けた糸の頬にキスをする。

「…っぁ…」

ズルリとヌメッた肉幹が引き抜かれると、なんだか心細くなってしまう。

「物足りないってカオだな」

物寂しいだけをそんな風に捉えられて、それでも否定できずに糸は赤面した。

「今度はベッドで」

額にキスをされて軽々と抱き上げられた。
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