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いとかなし
第1章 などみをつくし 思いそめけむ
陽気な音楽と次々に変わる景色。
2時間もしない内に辺りは緑に囲まれ、爽やかな空気と開けた空に大きく伸びをした。
手際よくバーベキューセットが組まれ、火が起きる。
串に刺さった肉と野菜が香ばしい匂いを漂わせて焼きあがっていく。
千津子は糸を川辺に誘って、二人して冷たい流れに足をつけた。
「糸…ずっと居ていいからね」
「…うん、ありがと」
「家賃もいらないし、食費も作ってくれるならいらないから」
「…ん…」
「糸…
泣いていいんだからね?」
「ちいちゃん…わかってるよ」
そう答えた糸はやっぱり笑っている。
千津子は唇を噛んでいた。
「ちいちゃん、魚釣り行こう?」
背後から声を掛けてきたのは境 恒平(さかい こうへい)
何度か家に飲みに来たこともある顔見知りだった。
2時間もしない内に辺りは緑に囲まれ、爽やかな空気と開けた空に大きく伸びをした。
手際よくバーベキューセットが組まれ、火が起きる。
串に刺さった肉と野菜が香ばしい匂いを漂わせて焼きあがっていく。
千津子は糸を川辺に誘って、二人して冷たい流れに足をつけた。
「糸…ずっと居ていいからね」
「…うん、ありがと」
「家賃もいらないし、食費も作ってくれるならいらないから」
「…ん…」
「糸…
泣いていいんだからね?」
「ちいちゃん…わかってるよ」
そう答えた糸はやっぱり笑っている。
千津子は唇を噛んでいた。
「ちいちゃん、魚釣り行こう?」
背後から声を掛けてきたのは境 恒平(さかい こうへい)
何度か家に飲みに来たこともある顔見知りだった。