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kiss
第15章 Hair
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溢れそうな性欲を抑えて、食器を片付ける。
今日は油汚れがしつこい料理オンパレードだったからな。
洗剤をふんだんに使って鍋を綺麗にしていく。
数分もしない内に忍がコップや小皿を持ってやって来た。
「ん」
「さんきゅ」
「バリ旨かった」
「んひひ」
「やめろって」
すぐに冷蔵庫を開く。
オレん家なのを忘れてたのか、小さく舌打ちした。
「なんか食べたいの?」
「生ハム」
「家にあんの?」
「たぶん」
「取ってきたら?」
「面倒」
「冷凍にサラミピザあるよ」
「じゃあ、頂く」
今日は泊まんのかな。
頼んでないけど察してくれてる。
恋人の日。
なあ。
そんな日に泊まってくれたらさ、勘違いしてもいいだろ。
忍。
電子レンジのタイマーを見ながら、とんとんと踵で時を刻んでる。
食器なんて放置して抱き締めたい。
「拓」
「あっ、なに?」
髪を揺らしながら振り向いた忍が意地悪く囁いた。
「俺に見とれて割んなよ?」
バリン。
「あっ」
「えっ」
とどめを刺しておきながら、無茶なこと言う。
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