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真珠浪漫物語
第5章 秘密と嘘
千の家に上がる綾香と梨央。
明るく世話好きな千の母親、まつが賑やかに食事を、それぞれの食器に盛り付けている。
「さあ、綾香ちゃん。ご飯だよご飯…て…あ、あら…こちらのお嬢様は…?」
見たことがないような舶来のドレスを着た美少女が綾香の横に寄り添っている。
梨央は嬉しそうに
「はい。北白川梨央と申します。綾香さんのいもう…」
と言いかけた口を綾香が慌てて手のひらで塞ぐ。
「友達!ちょっとした友達だよ」
「へえ…お友達…こんなお姫様みたいな方が?」
「うん。…カフェに私の歌を聴きに来て、気に入ってくれてさ…」
「そう…ま、いいや。あなたもご飯食べていきな。綾香ちゃんは自炊しないからほっとくとお酒ばっかり飲んでろくに食べないのよ。だからうちでご飯を食べるようにしたの。さあ、今日はおでんだよ」
土鍋の蓋を開けるとグツグツ煮えた美味しそうなおでんが現れた。
「まあ!美味しそうですね!…私、生まれて初めて食べます!」
梨央の瞳はキラキラ輝き、頬も紅潮している。
「おでんが初めて?…ふうん、こりゃまた本物のお嬢様だね、どんどんお食べ。はい、卵にはんぺんに大根につみれに白滝だよ」
梨央のお皿によそってやるまつ。
梨央、つみれを一口食べる。
「美味しいです!こんな美味しいものを生まれて初めて食べました!」
無邪気な答えにたじろぐまつと千。
次に梨央は初めて食べる白滝に苦戦している。
その様子はまるで子供のように屈託がない。
「良かったね、お姫様。たくさん食べな」
綾香はふっと笑う。
その笑顔は梨央を包み込むように優しく、梨央は一瞬息が詰まり、赤くなり下を向いてしまう。
そしてそっと綾香を見つめる。
化粧っ気のない美しい素肌、濃い睫毛、西洋人のように彫りが深い目鼻立ち、瞳は黒目勝ちで、普段は強さを秘めているが、今は優しさをたたえていておだやかだ。
唇は艶やかな茱萸の色…。
…お姉様、綺麗…。
こんな近くでお姉様を拝見できるなんて、夢みたい!
ぼうっと綾香に見惚れていると
「ほら、お姫様!零すよ、しっかり持って」
と肘をつつかれた。
「は、はい!」
梨央は慌てて箸を握りしめた。
そんな不思議な2人を、まつと千はなぜだか微笑ましく感じ、目配せをしてそっと笑った。
そして皆で賑やかに食事を進めるのだった。
明るく世話好きな千の母親、まつが賑やかに食事を、それぞれの食器に盛り付けている。
「さあ、綾香ちゃん。ご飯だよご飯…て…あ、あら…こちらのお嬢様は…?」
見たことがないような舶来のドレスを着た美少女が綾香の横に寄り添っている。
梨央は嬉しそうに
「はい。北白川梨央と申します。綾香さんのいもう…」
と言いかけた口を綾香が慌てて手のひらで塞ぐ。
「友達!ちょっとした友達だよ」
「へえ…お友達…こんなお姫様みたいな方が?」
「うん。…カフェに私の歌を聴きに来て、気に入ってくれてさ…」
「そう…ま、いいや。あなたもご飯食べていきな。綾香ちゃんは自炊しないからほっとくとお酒ばっかり飲んでろくに食べないのよ。だからうちでご飯を食べるようにしたの。さあ、今日はおでんだよ」
土鍋の蓋を開けるとグツグツ煮えた美味しそうなおでんが現れた。
「まあ!美味しそうですね!…私、生まれて初めて食べます!」
梨央の瞳はキラキラ輝き、頬も紅潮している。
「おでんが初めて?…ふうん、こりゃまた本物のお嬢様だね、どんどんお食べ。はい、卵にはんぺんに大根につみれに白滝だよ」
梨央のお皿によそってやるまつ。
梨央、つみれを一口食べる。
「美味しいです!こんな美味しいものを生まれて初めて食べました!」
無邪気な答えにたじろぐまつと千。
次に梨央は初めて食べる白滝に苦戦している。
その様子はまるで子供のように屈託がない。
「良かったね、お姫様。たくさん食べな」
綾香はふっと笑う。
その笑顔は梨央を包み込むように優しく、梨央は一瞬息が詰まり、赤くなり下を向いてしまう。
そしてそっと綾香を見つめる。
化粧っ気のない美しい素肌、濃い睫毛、西洋人のように彫りが深い目鼻立ち、瞳は黒目勝ちで、普段は強さを秘めているが、今は優しさをたたえていておだやかだ。
唇は艶やかな茱萸の色…。
…お姉様、綺麗…。
こんな近くでお姉様を拝見できるなんて、夢みたい!
ぼうっと綾香に見惚れていると
「ほら、お姫様!零すよ、しっかり持って」
と肘をつつかれた。
「は、はい!」
梨央は慌てて箸を握りしめた。
そんな不思議な2人を、まつと千はなぜだか微笑ましく感じ、目配せをしてそっと笑った。
そして皆で賑やかに食事を進めるのだった。