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真珠浪漫物語
第11章 嵐の予感
次に目覚めた時、梨央は部屋の長椅子で綾香に膝枕をされていた。
菫色のドレスは脱がされ、クリーム色の部屋着を身につけている。
綾香のしなやかな指が優しく梨央の髪を梳きあげる。
瞼を開けた梨央と目が合う。
綾香は微笑む。
「…ごめんね、梨央…少し虐めすぎたね…」
屈んで梨央の髪にキスをする。
梨央は首を振った。
綾香の膝に顔を埋め、
「…私みたいな悪い子…お仕置きされて当然なの…だって…私…お姉様に嘘をついていたわ…縣様のことを隠していた…お姉様に嫌われたくなかったから…言えなかった…」
水晶の粒のような涙が綾香のドレスに落ちる。
綾香はそっと梨央を抱き起こし尋ねる。
「…縣さんが好きなの?」
「…わかりません…小さな頃からよく家にいらして、私を可愛がってくださいましたから…私にとっては優しいお兄様みたいな方です…」
「…そう…」
「…お父様は海外のお仕事が多くて、留守がちでいらしたので、縣様がお父様代わりに色々な事をお世話してくださいました。私が1人でも安心して過ごせるようにと…そんな縣様を頼もしく、お慕いしておりました…」
綾香は梨央の顔を両手で包み込みじっと見つめる。
「…結婚するの?縣さんと」
梨央は俯く。
「…お姉様にお会いするまでは…それが私の1番の幸せだとお父様や周りの方に言われていたので…そういうものだと思っておりました…でも…」
梨央は顔をあげ、綾香の彫刻のように整った美しい顔を見つめる。
「お姉様にお会いしてから、私は変わりました。…人を愛することがどういうことなのか…愛する方に触れていただくことがどんなに幸せなのか…初めて知りました…」
「…梨央…」
「お姉様を愛しています。心から…でも…お父様を裏切ることはできない…私をずっと大切にしてくださった縣様を裏切ることも…私は…どうしたらよいのでしょうか…?」
その時…縋ってくる梨央の手を綾香はすっと外し、ゆっくりと立ち上がった。
綾香の顔には見たこともないような穏やかだが近寄りがたい孤高の表情が浮かんでいた。
「…それは…梨央が決めることだよ。…私ではなく…貴女が自分で決めるの…」
「…お姉様…?」
まるで綾香に突き放されたかのような言葉を聞き、梨央は身を硬くした。

「…梨央は梨央の人生を生きているんだよ。…人生の選択は自分でするの…」
綾香はそう諭すように言うと、静かに部屋を出た。
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