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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第11章 不安な心

ここまで来れば、あとはもう少し。
子どもの頃、よく乗っていた京浜急行。
懐かしい気持ちで電車がホームに来るのを待っていた。
本数は多いから、すぐに次の電車がくる。
私は次の各駅停車に乗って、ゆっくり向かう事にした。
空いていた座席に座ってマッタリと外を眺める。
平日の朝から、ちょっとした小旅行みたい。
何だか愉しくなってくる。
金沢八景には、水族館や海がある。
昔、両親と一緒に潮干狩りしたっけ…。
そんな思い出もよみがえってくる。
そんなこんなで、あっというまに、電車は目的地に着く。
はやる気持ちを抑えて、改札へ向かうと、改札の先にはすでにアズが待っていた。
改札を出る人の波の中から、ちゃんと私を見つけてくれたアズは、嬉しそうに私に手を振って近付いて来た。
「おはよ!待ってたよ!疲れてない?」
「大丈夫だよ!電車すごく楽しかった。」
「そっか、良かった。じゃ、俺ん家行こうか。」
差し出されたアズの手を握って、歩き出した。

