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わけありっ、SS集!
第2章 ぎゃるかのっ!

「リュウヤ……」
「やあだあああ可愛くなああいっ、『りゅっちゃん』にしよーっ」
「もう、好きに……」
突っ込む気力もない。
「あーい!」
俺はりゅっちゃんになった。
そのあとも、なんだか連れまわされた。ああ、俺の休日が……。
拒否ればいい話なんだけど、俺が何か言おうとするたびに彼女の弾丸トークが邪魔をする。一言返せば十倍くらいの言葉が返ってくるし、もうこっそり逃げてやろうともしたけれど、次の瞬間には隣で腕を掴まれてるし。
……早々に根負けした。
結局日が暮れるまで付き合わされた。
「うっわーもうこんな時間! りゅっちゃん、そろそろ帰るぅ?」
「か、かか、帰りまひょう!」
俺は、ここぞとばかりに全力で頷く。力を入れすぎて噛んだけど、そこを気にしてる場合じゃない。
「んーでもぉその前にー……バイバイのチュゥはー?」
「…………は?」
びっくりしすぎてすごく低い声が出た。
対象的に彼女は、相変わらずのきゃぴきゃぴとした声で、
「だぁかぁらぁ、チュゥ! ミサたち付き合ってるっしょ!?」

