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私を見ないで
第5章 それから



アルバムを置いて、押し入れから卒業アルバムを出す。
ある記憶と写真の男の子が見えない線で繋がっている。
鍵は、小学校の卒業アルバム。
6年3組の写真に彼は居た。
手を繋いだ、そっぽを向いた男の子の面影を残して。


アルバイト先で意識したあの視線の彼だ。


見なきゃ良かった、アルバムなんて。
卒業アルバムを探さなきゃ、アルバムより大人びた彼を思い出さなかったのに。


そう。私はずっと。
あの体育祭からずっと。

背中ごしの彼の体温に。口を塞いだ彼の手のひらの大きさに。肩に触れた彼の唇に。

もう、取り込まれていたんだ。
私の初エッチは無意識に彼を見ていて。
アルバイト先に彼女を連れて来た彼に。


あの体育祭で、彼に。
恋い焦がれていたんだ。


だから彼の視線が気になったんだ。
だから…私は。


私を見ないで。


でも…………


私を見て…………
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