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向日葵
第9章 セカンドセックス
 男は欲望の白濁液を女の身体に吐き出すと、満たされてゆき、苦しいマラソンのゴールを迎えたかの様な満足感に満ちた安堵の顔を浮かべていた。

 終わった後も、私を気遣いながら優しい愛を語る白石。

 「ごめん…
勢いで…止まらなくなって…君に問えば、きっと途中で辞める選択をさせられたはず。
だから、敢えて俺は君の意思を聞かなかった。
ーー狡いよなーー
弱った君を…それでも抱きたかった俺は…
すみれが好きでどうしょもないんだ!」


 私はその気持ちを受入れる事が出来ない。
その事を態度で示す。
身体にかかった液をティッシュで拭い、散らばった衣服を拾い集めて肌を隠した。

 ーー可愛げの欠片もない自分が痛いーー

 「大丈夫です。
お互い合意の上のセックスです」

 「すみれ……」

 「私の愛する人も、きっと覚悟を決めてセックスを受け入れたはずです。
私の愛する人は女性です。
同性愛者でありながら、親が決めた人のところに嫁ぎました。
初夜で初めて男に抱かれた純粋な子です。
その痛みや現実までは、私にはどうする事も出来ません。

 ……このセックスが狡いなら、当然私も狡いです。
だけど、白石さんとそうなりたい、なろう、なってしまって…普通の女になれたら……どんなに幸せで楽になれただろう…
だけど……ごめんなさい………
 今、正直にならなきゃ、今度は白石さんをもっと傷つけてしまう。

 ーーもっと、狡くなるーー
狡くなるのは簡単だけど苦しい!」
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