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向日葵
第10章 人妻の彼女
愛しい人が人妻となって私の前に現れたのは、結婚式や新婚旅行、新居の引っ越しも終わり、だいぶ落ち着いた頃だった。
近況はメールなどで時折知らせてはいたが、敢えて触れなくてもいい事はお互いにスルーしていた。
いくら愛していても、全てに正直にならなくてもいい。
ーー愛しているなら余計にーー
会えない日々が一月以上続いたある日。
いつもの様に仕事終わりにコンビニ弁当の袋を下げて、疲れた身体でアパートに向かって歩いていると、自分の部屋のカーテンの隙間から明かりが漏れているのが見えた。
急いで部屋の前まで行くと、香辛料の強い匂いが漂っていた。
鍵を開けて入ると、キッチンで料理をする葉月が居た。
「あっ!!すみれ、おかえり」
愛しい笑顔が私の瞳に映る。
「来てたの?」
嬉しいのを隠しきれない癖に、わざとクールな口調になった。
「来ちゃった!
急に、あの人が京都に出張になってね…
二、三日帰らないみたいだから…
すみれを驚かせたくてさ!」
葉月のはしゃいだ笑顔を久しぶりに見た気がした。
「残業だったらどうするの?
遅い時間まで帰れないわよ!
それにコンビニ弁当無駄になったじゃない!
勿体無い…連絡くらいしなさいよ!」
「何、プリプリしてんの?
サプライズだよん!
コンビニ弁当より美味しいから…
本場のタイカレー」
「香辛料の匂い強すぎ!」
「もう、怒らないの!」
そう言って、私に抱きつき、チュッと軽いバードキスをした。
きっと世の中の新婚は、このキス一つで何もかもを許してしまうくらい、幸せなんだろうな…。
そんな風に思えた。
自分には一生、そんな時間は訪れない。
人妻になった葉月は、暫く見ない間に女性の色艶を兼ね備え、私の知らない部分を開花した様にも見えた。
近況はメールなどで時折知らせてはいたが、敢えて触れなくてもいい事はお互いにスルーしていた。
いくら愛していても、全てに正直にならなくてもいい。
ーー愛しているなら余計にーー
会えない日々が一月以上続いたある日。
いつもの様に仕事終わりにコンビニ弁当の袋を下げて、疲れた身体でアパートに向かって歩いていると、自分の部屋のカーテンの隙間から明かりが漏れているのが見えた。
急いで部屋の前まで行くと、香辛料の強い匂いが漂っていた。
鍵を開けて入ると、キッチンで料理をする葉月が居た。
「あっ!!すみれ、おかえり」
愛しい笑顔が私の瞳に映る。
「来てたの?」
嬉しいのを隠しきれない癖に、わざとクールな口調になった。
「来ちゃった!
急に、あの人が京都に出張になってね…
二、三日帰らないみたいだから…
すみれを驚かせたくてさ!」
葉月のはしゃいだ笑顔を久しぶりに見た気がした。
「残業だったらどうするの?
遅い時間まで帰れないわよ!
それにコンビニ弁当無駄になったじゃない!
勿体無い…連絡くらいしなさいよ!」
「何、プリプリしてんの?
サプライズだよん!
コンビニ弁当より美味しいから…
本場のタイカレー」
「香辛料の匂い強すぎ!」
「もう、怒らないの!」
そう言って、私に抱きつき、チュッと軽いバードキスをした。
きっと世の中の新婚は、このキス一つで何もかもを許してしまうくらい、幸せなんだろうな…。
そんな風に思えた。
自分には一生、そんな時間は訪れない。
人妻になった葉月は、暫く見ない間に女性の色艶を兼ね備え、私の知らない部分を開花した様にも見えた。