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向日葵
第12章 ラストラブレター
 DEAR 陽だまりの猫様


 この度は、本の出版おめでとうございます。
書店に並ぶ日を指折り数えて、ワクワクしながら待っております。

 手紙を書くのは気恥ずかしいのですが、上手く言えない言葉は、文字に託して伝えるという事を大事な人に教わった気がします。

 私もこの手紙を書こうと決意致しました。

 これから書く、私の戯言に関しては、どうか二人だけの永遠の秘密にして下さいね。

 
 自分に正直に生きようと、夫の留守中に好きな人の元に走りました。

 罪悪感と自分に正直に生きたいという気持ちの板挟みで苦しかった。

 好きな人の顔を見た瞬間に気持ちは決まっていたんです。

 全てを失っても、貫きたい愛でした。

 その夜、私は好きな人と結ばれました。

 陽だまりの猫さんの描く物語とシンクロしてしまい、キュンと疼いてしまう事があります。

 裏切りは一度だけと誓った日からは、あなたの物語に自分を置き換え、忘れられぬ人の指を思い浮かべ、濡れた秘部を慰めながら人知れず欲求を満たりもしました。
心の浮気を重ねながら現実を生きてます。

 それくらいの罪は許して貰えますよね?

 私が愛した人は猫みたいな人でした。
気が強い癖に、寂しがりやで弱音を吐けない。
それでいて甘えん坊で不器用で……

 『私が居ないとこの人はダメかな?』なんて、自惚れた時期もありました。

 でも本当は、あの人の一番になりたくて、わざと過去の恋を聞き出し、嫉妬をぶつけて激しいセックスを仕向けたりもしたんです。
私が一番だという確認の意味を分かってくれてました。

 懐の広い、優しい人なんです。

 抱かれている時は、至福の時間となり、その想いを心の瓶に詰めていきました。

 終わった恋に未練がましくなると、そっと瓶を取り出し、愛しい人と過ごした想い出の日々に浸り、『これ以上はダメ』と自分に言い聞かせて浄化していったのです。

 愛しい場所のドアを開けるイルカのついた鍵は、お守り代わりにしています。

 二度と開けられぬドアへのジレンマと共に、未来永劫に続く想いを託し、私の傍に置いております。

 


 

 


 


 
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