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向日葵
第1章 愛を契る
 数カ月前から、この旅行を決めていた。
なるべく近場でゆっくりと出来て、綺麗な景色がいいと二人で話し合った。


 赤いクーペで高速を駆け抜け、田舎町の海に辿り着く。
窓を開けたら潮の薫りが漂う。
ハンドルを握る私に、彼女はミントガムを差し出す。

 「すみれ、眠気覚ましにどうぞ」

 「有難う。葉月。
でも大丈夫!
海が見えてきたからね、眠気も覚めるよ」

 「そうだね。
夏休みを楽しまなきゃね」

 「水着持ってきた?」

 「うん。
すみれはスタイルがいいから、何を着ても似合いそう!」

 「葉月こそ、背が高いし、バスケで鍛えた身体のラインが綺麗だから似合うよ」

 「私は、すみれの全てが綺麗だと思うわ」

 「ヤダ……葉月ったら…そんな事言われたら…
今すぐ抱きしめたくなる」


 「すみれったら!
この旅行中は、沢山抱き締めてね!
私の全部を奪って欲しい…」


 私は車を停めて、今すぐにでも葉月を裸にして押し倒したいという衝動に駆られた。


 その気持ちを押し込めて、ミントガムを噛み締めながらハンドルを握り、目的地を目指した。


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