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向日葵
第3章 ビアンの純粋と闇
 手を握られたまま涼太と街を歩いたわ。
これが少女漫画の恋愛ものなら、告白の時を待つのよね?

 満開の桜並木の道なんかをわざわざ選んで歩いて、花びらが舞う中で、涼太はやっと言ったの。

 『すみれが好きだ。
受験が終わったら言おうって決めていた』って、私の手をギュッと握ったままそう言ったの。

 普通の女ならキュンとするとこなんだろうね…

 キュンじゃなく、ドキドキはしていた。

 私の中の悪魔が囁いたの……

 『涼太を男として正直にさせてみろ!』ってさ。

 『好きだの愛しているだの言葉で塗り固めても、所詮十八の男が最終的にシタイ事はセックスしかないだろ』ってさ…

 その段階を踏む為に、女にいろんなハニートラップを仕掛けてるのなら、私にはその段階は不要!

 だからよ……
女しか愛せない私が、セックスしたらどう変わるのか知りたくなるのは。
それも所詮、自分都合の言訳だけど、自分の事を好きな男が隣に居るのなら……
それを試してみたくなった。

 もしかすると、私も男とのセックスにのめり込み、普通の女として生きる道を選んでしまうかもしれない。

 抱かれてみれば自分の本性も分かる。

 別に、涼太を好きなわけではないけど嫌いなわけでもない。

 これから涼太に好きになる可能性も未知だった。

 もしかすると、普通の女の様にセックスをしたら、その男を好きになってしまうかもしれないじゃない?

 セックスをしなきゃ、分からない事だってある。

 ーー確かめたいーー

 ならば、私からハニートラップを仕掛けて、悪戯に時間を掛ける必要もない。

 そう思った。

 

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