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向日葵
第4章 好奇心を抱いたロストバージン
 『君が分からない…』
涼太は暗い目をして呟いた。

 「分からないから、私達には未来はないんだよ…」
私は涼太に本音を打ち明けた。


 涼太の顔を見ているのが辛くなった。

 普通の性を持って生まれたのなら、きっと涼太を好きになって、純粋に捧げていたのかもしれない?

 下を向いて、私の顔すら見れなくなった涼太に、これ以上、屈辱的な思いをさせるのが本当に辛くなった。


 本当に醜いのは私なんだよ……

 ペニスを持たずして、女として生まれ、女しか愛せない、私がこの世で一番醜い!

 本気でそう思った。

 涼太の前で泣くのは反則だと自分に言い聞かせたよ。
泣く資格もない。
それでもーーどうにもならない感情や自分の愚かさに涙が込み上げてきた。


 ダメ、泣いたら…
最低な女で別れるのが涼太へのケジメ。


 「さよなら」

 そう言って、部屋を出た。

 トボトボと帰り道を歩いていたら、涙が一気に溢れ出した。


 当然、涼太ともそれっきりになった。
憎いと思った梨花ともこの日を境に疎遠になった。
だから、梨花と康介があの後どうなったのかも分からない。
無責任を平気でやりのけたのよ。

 涼太と別れた帰り道に携帯を川に投げ捨てたよ。
それだけで繋がっていたから、捨てる事によってもう二度と関わりを持つ事もないって思ってさ……
それと同時に自分のエゴを貫き通すのは辞めようとも思った。

 心が痛い。

 理解されない世界で自分の性と向き合い、ひっそり生きていこうと決めたわ。


✾✾✾


 「すみれ……
貴女の世界には私が居る。
永遠にね」

 話し終えた私に貴女は優しく言ってくれたね。

 「葉月……」
 
 そして私は愛しい貴女の名前を呼んだ。

 いつか別れる日が来たら、とびっきりの笑顔で貴女の背中を押してあげるからね。

 私の世界で貴女は生きるのだから…

 そして、貴女を永遠に愛す。
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