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向日葵
第5章 愛し、愛されて
 呆気無く、私達の旅は終わってしまった。

 抱き合い、別れの時間を惜しんで唇を重ねた。
何度も何度も貴女の唇に自分の唇を重ねた。


 仄かに残るアールグレイの香りと共に、貴女の唇を味わった。
互いの瞳に涙の粒が止めどなく溢れ出して、この時間(とき)を止められたのならと願う。

 無駄だと分かっていても、過ぎ去る時間を惜しみながら、唇が離れる事を拒んでいた。

 「愛してる」

 「愛してる」

 「愛してる!」

 交互に愛を語り、私は貴女の愛しい唇を離れてしまった時、『愛してる!』と叫んでいた。

 貴女は私を抱きしめて、『私も永遠にすみれを愛す』と儚くも希望の声を残してくれた。

 そして、変わることのない現実へと徐々に戻されてゆく。

 【バタン】とドアの閉まる音が私の耳に響いた時、夢の時間は終わりを告げた。

 声を殺して泣く事で、目の前の現実を涙で滲ませていたんだ。
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