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向日葵
第5章 愛し、愛されて
「私が淹れるわ」
「葉月」
「多分、これだけはすみれには負けない!」
そう言って、ニッコリ微笑んだ。
水道の蛇口を捻り、勢いよく水が流れる。
その水をやかんに入れ、お湯を沸かした。
「美味しいものを頂く時は、手間暇を掛けてあげるのよ。
面倒臭がったらダメ!」
普段はボーイッシュなのに、そういう所は良い所のお嬢様育ちを思わせた。
沸いたお湯をティーポットやカップに注ぎ温めた。
「この手間も忘れずにね!」
ティーポットやカップのお湯を捨てて、ティースプーンで茶葉を図ってティーポットに入れる。
それから、お湯を高い位置から注いだ。
葉月の手順に沿った紅茶の淹れ方をうっとりと眺めていた。
キッチンにアールグレイの良い香りが広がる。
「どうぞ」
私達は小さなテーブルを囲んで紅茶を嗜む。
淹れたての紅茶は極上の味がした。
「そのカップ…
すみれと付き合って、最初の誕生プレゼントだよね?」
「そうよ!」
「選んでいる時、何時間も歩いて悩んでやっと見つけたんだ。
すみれの花の模様が入った白いカップを見付けた時、貴女に再び会えた夏を思い出した。
手に取って、これしかないって思った。
このカップのお陰で、すみれとこうして紅茶を飲めた。
これもいい思い出になるわ」
「面倒臭くても、葉月を思い出す時は手間暇掛けて紅茶を淹れるわ。
大事にするから」
それに……
アールグレイの香りが貴女を運んできてくれる。
「葉月」
「多分、これだけはすみれには負けない!」
そう言って、ニッコリ微笑んだ。
水道の蛇口を捻り、勢いよく水が流れる。
その水をやかんに入れ、お湯を沸かした。
「美味しいものを頂く時は、手間暇を掛けてあげるのよ。
面倒臭がったらダメ!」
普段はボーイッシュなのに、そういう所は良い所のお嬢様育ちを思わせた。
沸いたお湯をティーポットやカップに注ぎ温めた。
「この手間も忘れずにね!」
ティーポットやカップのお湯を捨てて、ティースプーンで茶葉を図ってティーポットに入れる。
それから、お湯を高い位置から注いだ。
葉月の手順に沿った紅茶の淹れ方をうっとりと眺めていた。
キッチンにアールグレイの良い香りが広がる。
「どうぞ」
私達は小さなテーブルを囲んで紅茶を嗜む。
淹れたての紅茶は極上の味がした。
「そのカップ…
すみれと付き合って、最初の誕生プレゼントだよね?」
「そうよ!」
「選んでいる時、何時間も歩いて悩んでやっと見つけたんだ。
すみれの花の模様が入った白いカップを見付けた時、貴女に再び会えた夏を思い出した。
手に取って、これしかないって思った。
このカップのお陰で、すみれとこうして紅茶を飲めた。
これもいい思い出になるわ」
「面倒臭くても、葉月を思い出す時は手間暇掛けて紅茶を淹れるわ。
大事にするから」
それに……
アールグレイの香りが貴女を運んできてくれる。