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向日葵
第7章 愛と孤独
 いくら嫌いな女でも、怒りに任せて、言いたい事をぶつけ、一瞬スッキリした気分を味わったとしても、後味が悪かった。

 挑発されたにせよ、相手はお腹に子供を宿した妊婦。
言い過ぎた反省はあった。
気分もどんよりとし、外回りが終わり一旦社に戻ったが、仕事に身が入らなかった。
上手く気分のモード切り替えも出来ず、結局、体調不良を理由に早めに退社した。

 そんな自分が腹ただしいく思う。

 真っ直ぐ家に帰る気にもならず、葉月とよくお茶した喫茶店に入り、紅茶とハニートーストを注文し、頭の中の雑念を追い払おうとした。

 プラスに考えれば、私は涼太には恨まれても仕方ない。
巻き込んだ康介には、最低な女と思われても当然だ。
梨花があの二人の気持ちを代弁したのだと思えば、自分の罪を素直に認め、逆ギレする場面でもなかった。

 まだまだ、人間出来てないな…と、また反省し、負のスパイラルの中へと自ら堕ちてゆく。

 甘いハニートーストと紅茶の香りに癒やされながら、気持ちを引き上げようとしていた。

 私の想いは決して叶う事はない。

 女豹の様に狙いを定めて、全神経をそこに向けて必死になろうとも、運というものからは完全に見放されてしまう。

 葉月との夏の思い出を一つずつ瞼に蘇らせ、その愛を選んだ事を後悔しないと自分の心に言い聞かしていた。

 『人を愛するという事は、心は囚われの身となり、孤独という時間の中、試練は壁となる。目の前に壁はそびえ立ち、己を試してゆく。
 私は無償の愛を詠い、貴女の幸せを願う』


 そんな気持ちを空いたスケジュール帳の片隅に書き留めていた。



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