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第7章 愛と孤独

　あと一月もしないうちに結婚してしまう葉月。

　なるべく、結婚相手の事は聞かずにいた。
自分から聞いてしまえば、その日から激しい嫉妬を抱えながら生きる事は想像出来た。

　大学を卒業してからは、女将修行に入った葉月と休みを合わせて会う事は少なくなっていった。

　女将修行をして一年経ったある日、葉月は見合いをした。
相手は、葉月の親や三島屋代々からご贔屓にしている日本橋の老舗呉服店の次男坊。
一流の私立大学を出て、都内でも有名な百貨店の外商営業として働き、トップの成績を残すヤリ手な男らしい。
葉月の親はそんな優秀な男を気に入り、見合い話に乗り気だった。
葉月は断わり切れず、その見合いを受けた。


　『こんなもんかな…って。
三島屋の跡継ぎ娘は、親が気に入った人しか結婚出来ないのなら、条件の合う男と見合いして結婚をする宿命は間逃れないわ。
お見合いした人、卒なく熟すって感じな人なの。
外商でトップ守るだけあって、人当たりもいいし、知的な人っていうイメージかな。
歳も私より七つ上だし、落ち着いた大人だよ。
私には良い条件みたいよ？
ルックスも悪くはないかな…背も高いし、スーツも似合う清潔感のある感じで、呉服屋のボンボン育ちの気品もあるし、物腰も柔らかい。
すみれと秘密で付き合うなら、私目当てより、うちの財産目当ての方がやりやすいかも！
その方が気楽だわ…
野心家ならそこに気持ちを向けてくれるはずだしね！』


　あなたは笑って将来の旦那様の話をしていた。